「ウド・エルゴ研究所」は人間工学にもとづいて他企業様のご依頼により共同で開発を行っております。

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Dr.Move(ドクター・ムーブ)

快適な睡眠をサポートする“自然の寝返り”

最近では寝具に低反発素材が使われています。しかし、睡眠中に柔らかい敷き布団で姿勢が固定されると、布団との接触部に負担がかかり腰痛や肩凝りの原因となります。
睡眠は昼間の活動で疲労した人間の精神と肉体の休養を行うことが目的であり、その眠りを阻害されては、十分な休養を得ることはできません。睡眠の質は、室内環境(温度、湿度、騒音、振動、照度、空気組成)と寝床内環境(掛け布団と敷き布団、枕の形状や性状)の影響を受けます。その中で、私は寝床内環境のうち、睡眠の質に影響する敷き布団に注目しました。
今回開発した敷き布団Dr.moveは、高反発素材とシーソー効果により、睡眠中の寝返り運動を促進し、全身の疲れを癒し、寝起きを快適にする全く新しい敷き布団に仕上がりました。

宇土博 博士について

開発の経緯

Dr.Moveの開発は、広島市工業技術センターの紹介でアクトインテリアの荒川社長が、ウド・エルゴ研究所を訪問され、これまで世界に類のない「新しい機能の布団」の開発を依頼されたことが契機となりました。これまでの運転シートの研究から、「固定した寝姿勢を避ける」をキーワードに新しい布団の開発が始まりました。
現代は長時間過密労働、24時間労働等により睡眠の質が低下しており、長時間労働の規制と睡眠環境の改善が重要となっています。運転シートの研究により長時間の理想的な寝姿勢はなく、同一姿勢の保持は筋緊張や体液の停滞を引き起こすため,寝返りによる姿勢変化を促進するやや不安定な敷布団が睡眠の質や疲労回復に有効であると考えました。睡眠の質には敷き具の寝返りのしやすさが関係します。人は,一晩で30回前後の寝返りを打ちます。敷布団が柔らかいと体圧分散のため、睡眠のごく初期は快適に感じますが、睡眠全体では背中や尻の沈み込みで寝返りが阻害され、血液やリンパ液、関節液などの体液の流れが滞って、むくみや肩こり、関節痛、腰痛を引き起こし睡眠時の疲労回復を阻害します。そこで、寝返りしやすさに焦点を当て、少ないエネルギーで寝返りできる敷布団Dr.Moveを開発しました。

Dr.Moveの特徴と効果

質の高い眠りを実現した高反発ラテックス素材

Dr.move敷き布団は、高反発素材ラテックスに特殊硬質ボードを挟み込んだ三層構造。寝返りを始めると、硬質ボードが寝返り方向に対して斜めに傾くことにより、少しの力で寝返りができるようサポートします。ラテックスは、ほどよい柔らかさと反発力で布団本来の寝心地を感じさせてくれます。

中部は特殊な硬質軽量ボードを使い、体が布団の中に沈み込まないようになっています。下部のラテックスは、寝返りしやすくするために、ボードの影響を受けます。体の沈み込みを穴の大きさで調整。内側が沈み込みにくく、外側へ行くに従って沈み込みやすくなっています。

寝返りを促進する上下2層の高反発弾性層を備え、その中間に硬質ボードを固定せず挿入して横方向の可動性を高める構造にしました。体に接触する上端の弾性層は局所を圧迫せず、体が沈み込まない厚みにしてあります。寝返りは仰臥位から側臥位への移行時に重心の位置エネルギーが大きくなるため力を要し、これを容易にする構造が重要です。
そのため下端の弾性層は厚くし体幹が回転移動し仰臥位から側臥位に移る時に、下端の弾性層が変形して、移動側にボードが傾き回転を促進する設計にしてあります(シーソーメカ)。側臥位から仰臥位への回帰は、増加した位置エネルギーを利用して容易に行われます。このようにボードがシーソーのように作動して寝返りを促進する新しい敷き具が開発されました。
私は寝床内環境のうちシーソーメカについては、実験により寝返り時のボードの傾斜が確認されています。

Dr.Moveの特徴と効果

Dr.Move(開発蒲団)、ボードなし蒲団(開発蒲団からボードを抜いたもの)、標準蒲団(化繊使用、やや固め)について睡眠実験を行いました。
「全身疲労」「頸の凝り痛み」「腰の凝り痛み」について質問し、就寝前と起床時を比較。その結果、Dr. Moveのみ就寝前に比し寝起きの全身疲労、頸肩および腰の凝り痛みが有意に改善しました。(図1~図3)他の蒲団では訴えに有意差はなく、腰痛では逆に起床時の訴えが多く、表1に示すように、寝返り回数はDr.Moveが最も多く、寝返り促進効果を示しています。

  • ■疲れのBorg指数疲れのBorg指数
    図1. 入眠時と起床時の疲れの比較
    **P<0.01開発布団では起床時に訴えの有意の低下を認める。
  • ■頚肩のこり、痛みのBorg指数頚肩のこり、痛みのBorg指数
    図2. 入眠時と起床時の頚肩のこり・痛みの比較
    *P<0.05開発布団では起床時に訴えの有意の低下を認める。
  • ■腰のこり、痛みのBorg指数腰のこり、痛みのBorg指数
    図3. 入眠時と起床時の腰のこり・痛みの比較
    *P<0.05開発布団では起床時に訴えの有意の低下を認める。

図4に示すように、介護時に利用者を仰臥位から側臥位に寝返りさせる時の張力をDr.Moveと堅い床面で比較したところ、累積張力は,床面に比してそれぞれ64.8%、43.8%に減少し、寝返り介助の負担が明らかに軽減します。Dr.Moveは寝返り促進により疲労回復を促す睡眠改善ツールとして活用できます。

■表1. 就寝中の平均寝返り回数
布団の種類 平均寝返り回数
標準布団 26.0
開発布団 35.4
ボード無し布団 21.8
■図4. Dr.Moveと堅い床面での寝返り張力(kg)の比較

Dr.Moveの普及

従来の布団で寝返り困難な円背高齢女性や脳出血の片麻痺の女性がDr.Moveでは簡単に寝返りができて喜ばれています。
表2は、脳出血の片麻痺の女性のDr.Moveと標準布団の寝返り時間を比較したものです。この女性のDr.Moveの評価は、表3に示すように、これまで、介助を要した寝返りが、自立してできるようになり大変喜ばれています。
Dr.Moveは、ユーザーから朝に疲れがとれると好評です。寝返りしやすさは褥瘡を予防し寝返り介助の力を大幅に軽減し、高齢者の自立を可能にすることから介護施設での活用も期待されます。

■表2. Dr. Moveと標準布団での脳出血片麻痺の女性の寝返り時間の比較

試験回数 標準布団(s) Dr.Move(s)
1回 7.41 3.12
2回 6.34 2.37
3回 6.81 2.56
4回 6.44 2.79
5回 6.72 2.38
平均 6.74 2.64**
SD 0.419 0.316

**P<0.01標準布団との間に有意差を認める(t検定)

■表3. 脳出血片麻痺女性のDr.Moveの評価2014年12月24日から2015年1月9日までの16日間(17日間であるが1日は、旅行先のホテルのベッドを使用)のDr.Moveの使用体験。

  • 従来の布団では、夜間に2回くらい目が覚めていたが、Dr.Moveでは、深い眠りで目が覚めない。
  • 朝、起き上がる時に、仰向けで起き上がると腰を痛めるので、寝返りを打ってから起き上がる。従来の布団では、起き上がるのに苦労するが、Dr.Moveでは、楽に起き上がれる。
  • 2014年12月28日、下関のホテルに一泊したが、普通のマットレスでは、眠れなかった。Dr.Moveの良さが分かった。

■製品スペック

商品名 Dr.Move(ドクター・ムーブ)
布団の側 [表 地]ポリエステル80%、綿20%
[裏 地]ポリエステル100%
[中わた]ポリエステル100%
詰め物 [上層部]天然ゴム(タンニンラテックス)
[中層部]硬質ボード(発泡スチロール)
[下層部]天然ゴム(タンニンラテックス)
[側 地]ポリエステル100%(静電防止生地)
価格 未定



全製品ラインアップ

  • Dr.Grip
  • Dr.Move
  • Dr.Cut
  • Dr.Click
  • コクヨDr.Chair
  • 楽腰帯Relief(リリーフ)