持ち手部分は弾力性のあるシリコン樹脂で覆い、手元に衝撃緩衝材を付けました。従来の採果ハサミに比べて切断時の衝撃を抑制し、手指負担を1/4に軽減しました。使用者の肩や腕の凝り、手指の痛みを軽減します。
市販の園芸ハサミの多くは主に切れ味が重視され、手指への衝撃にはあまり配慮されていません。農業技術センター栽培技術研究部の越智資泰副主任研究員は「刃の耐久性や切れ味は一般的なはさみと同じだが、使用者の使いやすさを重点的に考慮した新しいハサミ」と評価しています。刃渡りは1.5cmで、ミカンなどのかんきつ類のほか、ブドウやナシなどの果実、トマトやキュウリなどの果菜類の収穫作業などでも使用できます。
ドクター・カットと従来の採果はさみを1時間連続で使った場合の痛みの違いを調べるため、親指から小指での評点試験(被験者が痛みを点数で表す試験)を行いました。その結果、従来品に比べて手指の痛みは、平均1/4に軽減しました。
はさみカット作業では、1回の衝撃は小さくても、連続して使えば大きな痛みを伴います。切れ味も大切ですが、体への負担を考慮しなければ作業効率が落ちます。
グリップのシリコンは衝撃を吸収するだけでなく、作業中に疲れにくくする効果もあります。人の手は硬い物を握ると筋肉が緊張し、過剰な力が入り手の血行も悪くなります。弾力性のあるグリップにすることで過剰な力が入るのを防ぎ、血流の悪化を予防します。
握りやすく、手に優しく、疲れにくい
手持ち部分は弾力性のあるシリコン樹脂で覆い、手元に衝撃緩衝材を付けることで、従来の採果バサミと比べて切断時の衝撃を大幅に抑制し、手指への負担を1/4に軽減しました。市販の園芸バサミの多くは主に切れ味が重視され、手への衝撃にはあまり配慮がされていません。農家の方など一日中、園芸バサミで作業される方の手への負担を最大限軽減することを目的に開発したDr.Cut(ドクター・カット)。多くの農家の方にご利用頂き、喜びのお声をいただいております。
握り直しが減り作業しやすい
ドクター・カットは、適度な弾力と力の伝わりやすさを考慮し、シリコンの厚さを平均で約3ミリに設定しています。物を握る際、一番力が入る中指と薬指、親指の付け根に接する部分をもっとも厚くしています。持ち手には、反復作業で指が前進しないよう人差し指が接する部分に指止めを設けています。
- デザインで重視したこと
- 高齢者や女性が使用しやすいように、従来のはさみのグリップにない手にやさしく柔らかい形状とリラックスして作業ができる色彩(薄いグリーン、ブルー、ピンク)のシリコンラバーを使用しています。
- 剪定用のドクター・カットの開発
- 現在、剪定用のドクター・カットの開発も進んでいます。農家には女性や高齢者が多いので手に優しい園芸はさみ・ドクター・カットを使用することにより体への負担を軽減し、元気に農業を続けてほしいと思います。